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【第6話】米粒の注意書きに翻弄される男!
ある日、時代劇好きな私は、大好きなお粥を
頬張りながら、撮り貯めた必殺仕事人の録画を見ていた。
冒頭の数秒間、オープニング直後、物語が急展開になる
瞬間、仕事人出撃の直前、毎度のように広告が流れる。
なるほど、やはり視聴者の年齢層に合わせて、
健康グッズや補聴器、サプリ等を売る通販番組が多い。
ところで・・・・・・・
文字がちっちぇぇええええぇえぇぇぇぇえ!!!
米粒より小さな文字を目で追いかける間もなく、
数秒で画面が次々に切り替わる。
はえええええええええええ!!!!!
こんなの高齢者読めるわけねーだろ!!!
これは何かの陰謀だ!!絶対何かの陰謀だろ!!!
という訳で、今回は視聴者を愚弄しているとしか
思えない「あの米粒の文字」について調べていきます。
《米粒文字の正体!?》
ケータイ会社、通販番組、健康商品等のCMで
よく目にする(というか読めない)米粒ほどの文字、
あれ、
「打ち消し(打消し)表示」というそうです。
全部で7種類の打消し表示が存在します。
皆も、広告を見て集めてみてね☆
なぜ打消し表示が使われるのだろうか?
ここを掘り下げていくと、実は一部の企業が
法律のグレーゾーンすれすれで
宣伝活動しているということを知った。
ふおおおおおおお!!!
これは一体どういうことなのか。
企業は、商品やサービスを宣伝する際、
「どうやったら消費者が興味を持つかなぁ~?」
と表現方法を工夫しているのだが、
その「表現方法」には色々なルールが存在するのだ。
主なルールとして、「薬機法(旧:薬事法)」や
「景品表示法」等が挙げられる。
まずは薬機法を見てみよう。
《薬機法の正式名称は?》
「医薬品、医療機器等の品質、
有効性及び安全性の確保等に関する法律」
う~ん、名前が長い…苦笑
医薬品、医療機器のみならず、化粧品、
薬用化粧品について定められた法律とのこと。
化粧品、薬用化粧品に関しては、
表現できる効能効果の範囲が薬機法で定められていて、
その範囲外の効能効果を表現することが認められていない。
そのため、化粧品等を扱う企業は
薬機法のルールに従って広報活動をしている。
また、健康食品なのに、医薬品と消費者に
誤認されるような効能効果を表示していたら、
それも薬機法違反となるそうだ。
次に、景品表示法(景表法)についてみていきたい。
《景表法の正式名称は?》
景表法では、商品・サービスの販売について
「有利誤認表示」と「優良誤認表示」の
2つが禁止されている。
《こんな所に有利誤認表示!》
「有利誤認表示」とは、読んで字のごとく、
商品・サービスの価格や販売条件について
実際より「有利である」と偽ること。
わかりやすい例を探していたら、身近な見本があった。
ガチャの確率表示に「有利誤認」があったとして
措置命令を下した、というニュースだ。
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1801/26/news114.html
問題の表示は期間限定で実施された
「クーラ限定ガチャ」。
ガチャを1回回したときのクーラの出現確率が
「3%」であるかのように表示されていたが、
実際の出現率は「0.333%」・・・
約10倍違うじゃねーか!!
ココでのポイントは、
「サービス内容が、実際よりもユーザーにとって
優れたものであると彼らに誤認させるような表示だった」
ということ。
なるほど。
欲しいキャラが手に入りやすい!
ユーザーにとって有利だ!
と思ったら、
「全然出ねーじゃねーか!」となったわけだ(笑)
次いってみよう!
《あのゲームに優良誤認表示!?》
「優良誤認表示」とは、
商品・サービスの品質や規格について実際より
「優れている」と偽ること。
これも、身近な見本があった。
として、ガンホーに課徴金5020万円の支払いを命じた。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1803/28/news112.html
私もパズドラを遊んだことがあったので驚いている。
これは一体どういうことなのか。
2017年2月に実施したパズドラのゲーム内のイベントで、
入手できる13体のモンスター全てが、通常の「進化」
とは異なる「究極進化」の対象であるかのように
ライブ番組で紹介されたらしい。
ところが、実際に究極進化の対象だったのは
2体だけだった。
これが「有利誤認」と判断されたわけだ。
うん。それはマズイね。
《2つの誤認表示の違い?》
【有利誤認表示の場合】
KOFの例と比べると「ガチャ」の点では似たような
感じだが、KOFの場合はガチャの「確率」が
触れられていた。
「今なら倍率が高いですよ」と課金を促すような
部分だろうか。
「大丈夫!今なら勝てる!」と運を信じる
カイジを思わせる。
【優良誤認表示の場合】
一方、パズドラの場合はガチャの
「サービス内容」が触れられていた。
実際の内容は「究極進化2体」なのに「究極進化13体」
とドえらく盛られた内容が「優良誤認」の対象、
という私の認識である。
無いものを「ある」と言う感じ。
ワンピースで言うところの
「うそつきノーランド」である。
「広告の表現で留意すべきルール」の画像を見ても
わかるように、薬機法よりも景品表示法の
ペナルティが大きすぎる!!!
「薬事法ドットコム」では、健康食品や化粧品に
関するどのような表現が薬機法(旧:薬事法)
に違反するかが具体的に紹介されている。
https://www.yakujihou.com/content/4-C.html#gsc.tab=0
なんかTVで聞いたかもしれない、
「お肌やおなかの調子はどうですか」や、
「こじわの気になる部分に」
等も記載されていて、あれもダメなの!?と驚いた。
(※条件によるだろうが)←打消し表現の活用
《景表法に触れるケース?》
機能性表示食品などの広告で、機能性を明らかに
超える効能効果を打ち出した時には、「景表法」
の方に違反するらしい。
他にも未承認の医薬品や医療機器の販売で怪しい
表現があれば、「景表法」の対象になるとのこと。
ふむふむ。
《米粒文字の話に戻ろう!》
広告表現にこれだけのルールがあることがわかったら、
なぜ「米粒文字」が横行しているか、なんとなく
わかってきたと思う。
広告の目的は「企業の商品・サービスを広く
消費者に認知させる」ことである。
いかに消費者の注意を集めるかがポイントに
なるわけだが、表現の仕方にもルールがある。
だから一部の企業は、この「打消し表現」を
必要以上に用いることで逃げ道を作り、
消費者トラブルに対する予防線を張っている。
これが私の認識である。
【ミスニージュの脳内劇場】
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
消費者
「この健康食品を使ったらドバドバ出るって聞いて
買ったのにドバドバ出ないじゃないか!」
企業
「いや、だって“個人差がある”って
書いてるじゃないですか」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
私の脳内イメージはこんな感じである。
なるほど。
その結果、米粒みたいな文字がびっしり
画面の隅っこを占拠しているのだろうか。
効果を伝えたいけど言えない「NGワード」があるから、
効果を匂わせるダークな知恵が働くんだろうか。
消費者が「書いてることと違う!」と言えば、
その広告表現はOUTになる。
だから企業は先回りして予防線を張っておく。
まさにイタチごっこである。
アプリゲームの利用規約も、情報量が多くて
読む気が失せるが、上記と似たような理由だろうか。
《打消し表示のヤバイ話》
「じゃあ打消し表示は許されるのか」
ということになるが、許されるケースと
そうでないケースがある。
実際、消費者庁は「消費者に目立たなく打消し
表示をすることは違法である」としている。
そりゃそうだ。
小さくすればなんでも良いという訳ではない。
消費者庁さん、結構色んな検証やってます。
《ビックリな調査結果!》
ある検証では、15人の対象者に「2種類の打消し表示」
が含まれる広告を見せた。
するとなんということでしょう。
一つの打ち消し表示に気づいたのが4人、もう一つの
表示についてはたった2人というではありませんか。
(2018年6月8日NHK暮らし解説より)
同じく消費者庁が、打消し広告の実態調査を
してるんですが、これがまた傑作。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_170907_0003.pdf
いや~文字が小っちゃくて、しかも2秒以内で
画面が切り替わるってことは。
もう「読むな」ってことですかね~(笑)
「下までスクロールしないと見落とす表示」というのは、
PC・スマホ特有の問題ですね!
こういった問題を受けて、消費者庁も
色々ルール決めをして、
スマホ特有の「商品表示の長い文があって、
下までスクロールしないと打消し表示に
気づかない」も違法になってるんですね。
《色んなルール決め!》
また、公正取引委員会が「見にくい表示に関する
実態調査について」っていうのを発表していて、
「やむを得ず打消し表示が必要で、消費者が
手に取ってみるものの場合、表示スペースが
小さい場合でも
《最低8ポイント以上》の文字にすること」
と、条件付きで打消し表示を許可してるんですね。
企業側も、これらのルールを学びながら、自主規制や
チェック体制の強化に取り組んでいるようですね。
少しスマホの消費者トラブルについて
深堀してみますZOI☆
《ドえらい買い物トラブル!》
打消し表示に関する実態調査報告書」を発表しており、
調査対象1000人の内「55.1%」が過去一年間に
スマホで商品・サービスの購入・申し込みを経験。
その内の「39.2%」が「打消し表示」を
見落としていた事により誤認して購入・申し込みを
したことがあると回答。
1000人中、約214人か…
約5人に1人がスマホで買い物する際、打消し表示を
見落として買っちゃった!!!どうしよう!!
っていう訳ですな。
私も、情報量が非常に多いようなショッピングサイト
(楽〇市場)などを利用していますが、
情報が多すぎて頭がパンクしてしまいます苦笑
情報の渦に打消し表示が紛れてたら、
「ウォーリーを探せ」を
やってるようなもんですわ!!!笑
《問題の表示パターン!》
で、問題はその表示パターン。例えば…
①打消し表示がアコーディオンパネルの中にあり、
タップしないと見られないもの
(四角いテキストボックスに「+」マークがあって、タップしたら全文表示されるアレや!)
②申し込みボタンをタップすると、打消し表示を
通り過ぎて注文フォームまでジャンプするもの
(この表現を見た時にいくつかイメージが沸いたが、多分こっちだろうと思って画像に表してみた)
③打消し表示の文字が小さく、気づきにくい場所のもの
(二本指でズームせんとわからんやつや!!!)
などなど…
《今回のまとめ!》
いかがだっただろうか。
お粥を食べながら見ていた時代劇のCMで激怒してから、
随分色んな事を知ることができた。
あ。
もし打消し表示に気づかずに買ったら
消費者庁ホットライン「188」に電話です!
こんなん「嫌や!」で覚えましょう♪
※あくまで個人の見解です
https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/
参考:
・Spiceworks Blog(2014.11.10)
https://www.spiceworks.co.jp/blog/?p=5177
・Dr. Tairaのブログ(2018.06.08)
https://rplroseus.hatenablog.com/entry/16332817
・マイナビニュース(2017.07.20)
https://news.mynavi.jp/article/20170720-caa/
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/index.html#other
・「国民生活」(2020.7)
http://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-202007_16.pdf
・カミアプ(2018.05.18)
・デイジー・デジタル・デザイン
https://www.daisy-web.com/weblog/3077
・ECのミカタ(2019.03.19)
https://ecnomikata.com/original_news/21565/