【第2話】広告と修道女に振り回される男!
メルヘンチックなカルチャーショックの後、2019年12月から
始まったとされるパンデミックにより「おうち時間」が増える中、
私は「ゲーム配信」に興味を持つようになる。
そして最初にゲーム実況に用いたサービスが、株式会社
「ミラティブ」が提供するゲーム配信アプリ「Mirrativ」である。
ミラティブは、かつてDeNA執行役員を務めた赤川隼一氏によって2018年2月に創業。これまでゲーム配信にはパソコンやWebカメラ等の準備がかかるといった常識が、「スマホ一台でゲーム実況が手軽に始められる」という赤川氏の発想によって覆された。
そして同年8月、「Mirrativ」は「エモモ機能」をリリースし、
「誰でもバーチャルYouTuberのように生配信ができる」を
ウリに注目を集めていった。
これは2016年12月にキズナアイ氏が初の「バーチャルYouTuber」として動画投稿を始めてから約2年後の出来事である。気が付けば、誰でも気軽に自分の「アバター」を持って表現できる時代になっていた。
私は、大学の入学式で学長が言った「仮想人格を持つ」ことの意味を、
少しずつであるが理解した気がした。
大人気バトルロワイヤルゲーム「PUBG」や無料ゲームアプリの
配信をしていく中で、私はあることに気づく。
「あれ…日常では出せていない自分を表現できている!」
これは「ジキルとハイド」のようなヤバイ方の「出せている」
ではなく(苦笑)「自分の感情を率直に言葉で表現できている」
ことに感動したのである。
これは、自分の言葉で物事を表現することが
苦手な私にとっては大きな進歩であった。
また、人と対面で話すことが苦手な私にとって、「ゲーム画面に
向かって話しかけるだけの配信スタイル」は非常に気楽であった。
そして2020年2月、私は人生の転機とも言える
「あるホラーゲーム」を実況する。「Evil nun」(悪魔の修道女)である。
①そのアプリを起動すると、洗礼として30秒ほどの広告を見せられる。
②ゲームが始まると、何の説明もなく操作キャラである少年が
古びた学校(?)に車で連れてこられ、いきなり修道女に鈍器の
ようなものでブたれる。(親父にもブたれたことないのに!)
③少年が目を覚ますと「お仕置き部屋」のような場所にいて、
ここで初めて操作が可能となる。部屋を探索すると魔導書の
ようなものや謎の杯、悪魔を召喚する本など「絶対このオバハン、
やばい人やん」というものばかり。
④脱出を図ろうとするも、どこからともなく般若の形相をした
オバハンが斧のようなものを持って現れる。おかしいな。
「イージーモード」にしているが、説明書きにあった「修道女は
難聴になり、あなたを見つけにくくなります」は絶対嘘だろ!!!
⑤修道女に追いかけられているときや、学校内に散りばめられた
脱出用アイテムを見つける一歩手前で必ずと言ってよいほど
「広告」が強制的に表示され、一定時間過ぎないと消せない。
以上の「理不尽さ」に絶句しながらも、めげずにゲーム配信を
続けていた私の配信を見てくれていた視聴者の1人が、
「これ、何のゲームですか?」と尋ねてくれた。
そして私はジョークを入れながら「広告と戦うゲームです!汗」と叫んだ。
※「Evil nun」の実況動画は下記のリンクから見ることができる。心臓の弱い方でも楽しめるように工夫してみた。実況動画は全3部作構成となっており、ツイートのリプ欄から続編に飛べるようになっている。ios/android両方で遊べるらしいので、興味のある方はイヤホンをつけてプレイしてみてはいかがだろうか。
人生初のホラゲ実況!(アプリ名:evil nun)
— 広告と戦う実況者🐱ミスニージュ (@Misnieju) 2020年2月26日
どういうわけか悪魔崇拝をしている修道女に追いかけられます😱
Misniejuが走る!叫ぶ!ぶたれる!隠れる!広告に振り回される!
※ホラゲが苦手な人でも楽しめるように編集しました☆
full versionはMirrativにて♪#ゲーム実況 #ホラー #Mirrativ #アプリ pic.twitter.com/LTRRh1UEgb
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月日がたち、twitter上でフォロワーさんと接する機会が
増える中、私はあるフォロワーさんの「私に一言で
自己紹介してください!」という呟きを見つけた。
「ゲーム実況者」とか「猫好き」というと、ありきたりな感じ。
何か「これが私だ」と言えるような表現はないか色々考えた末、
「広告と戦う実況者です!」と答えた。
「ミスニージュ」という仮想人格が確立された瞬間であった。
私は喜んだ。トイレにいようが風呂場にいようが
その喜びを高らかに歌った。世界が色とりどりの花で
包まれたかのような気分であった。
これが「倫理」の教科書で習う
「アイデンティティの確立」とやらだろうか。
(第3話へ続く)